Japanese reading practice

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Read 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 254,021 characters · 495 screens

Aozora Bunko

「だろうと思ったんだ、あれだけの同行のうち、あの作男の草鞋だけが、ちっと切れっぷりが違ったところを見て取った、がんりきの百の眼力に狂いはねえんだよ」

その言葉が、お蘭どのにはよく呑込めない。

「どうしたというんだね」

「いや、どうもこうもありゃしねえ、お蘭さん、お前はこいつを持って一足先に行きな、おいらあまた一稼ぎだ」

がんりきは、こう言ってお蘭どのの、らんじゅくした面をまじまじと見つめると、

「いやな人だね、なんて目つきをするんだよ」

お蘭どのが、手をあげてぶつ真似をしました。

五十二

「おっかあ、おっぱいが一ぱい飲みてえ」

「何だね、そこに、さっきから番茶が汲んであるじゃないか、冷えちまうよ」

「二番煎じが飲みてえ」

「何を言ってるんだね、夜が明けちまうじゃないか」

「遠慮なくお休みなさいよ、わっしゃ、いま言う通り、これからまた一稼ぎだ」

「せわしい人だね、いったい、これからどこへ稼ぎに行くんだよ」

「関ヶ原まで、もう一合戦」

「冗談じゃない」

「冗談じゃありません、こう瓦っかけの上げ壺を食わされたんでは、がんりきもこのままじゃ引込めねえ」

「何か喧嘩でもして来たのかね」