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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Read 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 254,021 characters · 495 screens
というのに、暫く身を忍ばせていたんだが、なあに――関八州から京大阪をかけて覚えのあるこのおれが、みちのくの道の果てで、ドジを踏むようなことがあってたまるかと、内心、少々くすぐったいような思いをしながらほとぼりの冷めるのを待って、駒井殿のお船へ乗込もうと考えているうちに、思いがけない手ごわい相手が出て来た。
奥州仙台でも名代の仏兵助という盗人の親分がいて、こいつがおれを取捕まえるために出動して来たのだ。
百五十五
単に盗人兇状で、御用役向の目をかすめる手段、或いは足段ならば相当に覚えもあるが、じゃの道は蛇の相当な奴が意地になって、腕にかけ、面にかけて、捕り方に向って来ようというのでは、相手が悪いと七兵衛が考えました。
役人はお役目であるのだから、熱心なのと、不熱心なのとある。従って厳しい時は厳しいが、放りっぱなしの時は放りっぱなしだ。だが、腕にかけ、面にかけてやる奴ときては、意地で来るのだから執念深い。
そもそもこのたびの仕事というものが、頼まれたわけではなし、必要に迫られたというのでもない、為さでものことを為したのだ。よせばよかったのだが、持った病では仕方がない。