Japanese reading practice

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Read 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 200,314 characters · 398 screens

Aozora Bunko

竜之助は苦笑いしながら医者の手を取って起してやると、

「失礼失礼」

骨なしのようにグデングデンで、面をかぶったままでお辞儀をするのが、いかにもおかしい。それと見た近所の子供連中がワヤワヤと寄って来て、

「やあ、道庵先生がひょっとこ面をかぶってらあ、おかしいなあ」

「先生、その面をあたいにおくれよう」

「おじさん、あたいにおくれよう」

医者の周囲を取巻くと、

「面こは一つしかないぞ、お前らみんなに分けてやれない」

「それではおじさん、じゃんけんをして勝ったものにおくれよう」

「じゃんけんでも何でもやれやれ、わーっ」

また竜之助の前へ倒れかかろうとする、竜之助はまた支える。

「やあ、失礼失礼」

往来の人は歩みを止めて集まって来る。竜之助は厄介な者につかまったと当惑し、

「これ子供たちや、このおじさんはどこの人じゃ」

「これは道庵先生というて、長者町のお医者さんじゃ」

「このように酔うては難儀じゃ、誰か邸まで沙汰をしてくれ」

「ナニおじさん、大丈夫だよ、この先生はいつでも酔払ってるんだから放っとけば一人で帰るよ」

「やーい子供、踊れ踊れ、踊りの上手な奴にこの面こをやるぞ、そら、こんなふうに踊れ」