Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Read 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 200,314 characters · 398 screens
驚くべき長い刀の鞘を払って、上段にとって、曳と叫ぶ、ずいぶん大きな声です。熟練した立合ぶりです。その技倆の程はまだ知らないが、立ち上って、まず大抵の人の荒胆も挫ぐというやり方。なにしろ真剣の立合を茶飯のように心得たものでなければ、こうはいかないはずであります。
一方、竜之助は同じく抜き放って、これは気合もなく恫喝もなく、縦一文字に引いた一流の太刀筋、久しぶりで「音無しの構え」を見た。無名の師、尋常の果し合いはなかなか骨が折れる、まして敵の様子が海の物とも山の物ともわからない場合において、得意の構えに身を守り敵を窺う瞬間は、いずれも気が張るのです。
焦き込みもせず……無言のままで青眼にとった刀。こっちが嚇しても手答えがない、叫んでも反応がない……自ら薩州の浪人と名乗る壮士は竜之助の太刀ぶりに、やや意外の念を催します。
道具をつけての稽古ならば、体当りで微塵に敵の陣形をくずしてみたり、一か八かの初太刀を入れてみる。当れば血を吸い骨を啖うことを好む刃と刃とでは、そうはいかない。
壮士は上段の刀を振りかぶったなりで、頻りに気合と恫喝とを試みて竜之助の陣形を覗うているが、その静かなること林の如く、冷やかなること水の如しです。