Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Read 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 285,635 characters · 558 screens
がする。
それにあの時は、本職の方を少し休んで、閑散な身であったから、そこへ多少、魔がさしたのか知れないが、今は痩せても枯れても、一本立ちのお角さんだ。
がんりきの奴、その時分とは、こっちの歯ごたえが少し違うものだから、やきもきしている。
だが、あいつも、あいつだけに、意地の張った男だから、ことに、いつも色男一手専売の気取りで、女ひでりはないような面をしてるだけに、引け目を見せないところが、可愛いといえば可愛いところだ。ことにその引け目を見せない結び目から、やきもちがころがり出すなんぞは、いっそう可愛らしいところだ――と、お角がにやりと、小気味のよかりそうな思出し笑いをする。
なるほど、それはその通りで、がんりきの野郎、女には飢えていない面をしていながら、やきもちを焼きたがるものだから、お角から、こう見くびられても仕方のない理由はある。
お角がことに笑止がっているのは、お角と、駒井甚三郎との間を、がんりきが、ひどく疑ぐっている。お角は海山千年の代物だし、駒井はああ見えて、あれでなかなかのろい殿様だから、内実はどんなふうにもつれ合っているのだか、その辺は知れたものでない。