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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Read 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 268,946 characters · 520 screens
おしゅんとヒトツトシだが、おしゅんがまだ人の見さかいもつかぬうちに、猿の子はもう木にも上れば、しまいにはおしゅんの子守までするようになった。そうしてその子猿も、やはり手首から先が白かったので、与次郎夫婦は、名も母親と同じに「手白、手白」と呼んで可愛がった。
三つにもなると、手白は全くおしゅんの子守をよくしてくれるので、おしゅんの母親は、手白におしゅんを預けると、いつも安心していろいろの仕事ができた。
ある日のこと与次郎が、いつものように山へ行った後、母親はおしゅんに湯でも浴びさせようと、釜で湯を沸かし、半槽(盥)にその湯を汲んでおしゅんを入れ、自分は子の傍で洗濯をしていたが、
「手白、また番をしてくりょな」
と言い置き、ちょっとの間だからと思って、近所の川へ洗い物をユスぎに出かけた。
その後で、手白は早速母親のするのを真似て、柄杓で釜からチンチン煮えている湯を汲んで来て、おしゅんの頭からザーッと二度も三度もかけてやったからたまらない、おしゅんはキッキッと泣いて、そのまま赤くただれて焼け死んでしまった。
川から帰って来た母親は、あまりの驚きに泣くにも泣かれず、