Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Read 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 319,771 characters · 617 screens
いやにしらっぱくれた挨拶をする者がありましたから、関守氏が振返って見ると、三度笠に糸楯の旅慣れた男が一人、小腰をかがめている。
「やあ、がん君ではないか」
「ええ、そのがんちゃんでげすよ」
「もう帰ったのか、なるほど早いもんだなあ、能書だけのものはあるよ」
「へえ、たしかにお使者のおもむきを果して参りました、青嵐親分にお手紙をお手渡しを致して参りました、同時に、あちらの親分からこちらの親分へ、この通り、お消息を持参いたして参りました」
「親分親分言うなよ、人聞きが悪い、ああ、これがその青嵐氏からの返事――十四日亥の時、なるほど早いものだなあ、その足は」
「いいえ、もう疾うに、昨夜のうちに、こちらまで参上いたしたんでげすが、つい、御門前がやかましいもんですから、今朝まで遠慮いたしやしてね」
「何も昨晩、この門前が格別やかましいこともなかったはずだ――ははあ、あの犬だな、今日の明け方、犬が吠え出したのが不思議だと思ったら、貴様がやって来たんだな、ああ、それでわかったよ、それそれ、それで犬が吠えたんだな、犬がこわくって、今まで近寄れなかったというわけだな、意気地がねえなあ、口と足は達者だが、肝っ玉ときた日にはみじめなものだな」