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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Read 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 319,771 characters · 617 screens
痛そうな面をしないのではない、本心痛くないのだ。すなわち不死身という変体になっている、そう思うよりほかはなかった。それから、あぐみ果てて、好意を以て、だましつ賺しつしてみても、いったん固めた口はついに開かない。わざと鎌をかけて、口を開かないと非常な不利益な立場になる、損だぞ、と言っても、損益が眼中にない。
ついに政略上、是非善悪不明のままに、あいつを農奴の張本に仕立てて、曝しにかけたのは、こいつならば、よし冤罪に殺しても、後腹の病まない無籍者だから、時にとっての人柱もやむを得ないと、当人ではない、役人たちが観念して、草津の辻へ「生曝し」にかけてしまったが、源松そのものも、実はあんまりいい気持がしなかったのだ。無籍者にしろ、放浪者にしろ、ルンペン小僧にしろ、持込場のない行路病者にしてみたところが、当人の身性に不明なところがあって、果して犯罪人かどうか甚だ不明であるものを、そのまま処刑をするということは、小の虫を殺して大の虫を抑える、時にとっての策略でありとはいえ、源松もあんまりいい心持はしなかった。ところがその策略が当りそうで当らず、民衆がその網にひっかかりそうでひっかからず、かえって裏をかかれて何者かが、あの「生曝し」