Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Read 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 319,771 characters · 617 screens
「貴様にとっちゃ旦那かお大尽か知らないが、その歌のザマは何だ、そんなものが、人に見せられるか、人を愚弄するにも程のあったもんだ」
「イケやせんか、なっとりゃせんか、和歌の法則から申しますと」
「馬鹿、和歌も詩歌もあるものか、そんなものを、よく人中へ出したもんだ、こっちへよこせ、揉みくちゃにして火鉢にくべてやる」
「じょ、じょうだんでげしょう、ドル旦のお大尽のお墨附! 愚拙が家の家宝――何とあそばします」
神尾の余憤は容易に去らない。冗談にしろ、和歌を持って来たから直してくれとか、評をしてくれとかいうことになると、なあに、この野郎がもたらすものだと軽蔑しながらも、その風流のやや向上気味なるを取らないでもないが、もたらしたその三一旦那の歌というやつが、茶漬にもならない代物だから、主膳もおのずから不興になったので、その不興が相当真剣になっているので、鐚も多少怖れている。
「そりゃ、あなた、お大尽と申しやしたところで、根が町家の商人のことでげすから、高家歌よみ家のようなわけには参りません、町人のお大尽でも、このくらいの風流があるというところも買っていただかなけりゃ。