Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠3

中里 介山

Read 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 214,131 characters · 423 screens

Aozora Bunko

「いや、どうも有難うございます」

道庵は額を丁と拍って、取って附けたようなお辞儀をした時分には、せっかく包みかけた道庵が危なく転げ出してきました。

「貴様は少々酔っているようだな」

「へえ、いつでも酔っぱらっているのでございます、町内では酔っぱらいで御厄介になっているのでございます」

何かわからないことを言ってまたお辞儀をする。茶袋はその形をおかしがって渋面を作り、

「以来、気をつけろ」

と言って出て行ってしまいました。道庵先生の出る幕は、大抵のことが茶番になってしまいます。夫婦喧嘩でもなんでも、道庵ひとたび出づれば大抵は茶にして納まりをつける。それが時としては道庵の一徳であり、時としては道庵先生の人格を軽くする所以となることもあります。しかしながらこの場の働きは、たしかに先生の器量を一段と上げてしまいました。なんとなればこれはお鍋や八公の夫婦喧嘩とは違って、相手が始末の悪い茶袋ときていたところへ、事は上様の不敬問題だから、屯所へ引張られた上は、まず生命は覚束ないものと思わなければならない。それを道庵が出て易々と解決をつけてしまったから、今まで黒山のように人だかりしていた連中が、ここで一度に哄と喝采しました。