Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Read 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 214,131 characters · 423 screens
そうすると、わーという人声。早くもそれと覚った宇津木兵馬は、
「お君どの、こりゃ大事出来、早く逃げにゃならぬ」
「何でございましょう、あの音は」
「ここの堂守が抜け出してあれを打った、それで村の人を集めている」
「わたしたちは何も悪いことは致しませぬ」
「もとより悪いことはしないけれども、何をいうにもこっちは旅の身、向うは土地馴染のある人、悪い名を着せられても急には明りが立たぬ、そのうち血気に逸る土地の人、どのような乱暴をすまいものでもない、今のうちに早く逃げなければならぬ」
戸の外では人の声が噪がしい。
「泥棒が入ったぞ、俺もこの通り傷を負ったが、甲府から来た金助は殺された、お堂の本尊様も明神の御宝蔵も荒された、賊はまだ若い、若い前髪の侍と、女が一人に犬が一疋、その犬が強いから噛まれないように用心さっしゃい」
警板の木の上で入道がおおいに叫ぶ。
兵馬はお君を促して一目散に逃げ出しました。
大並木をくぐり抜けて、堤を駈け下りると釜無河原。
兵馬はついに堪え兼ねて、お君を背に負って河原を走りました。提灯や松明で追いかけて来る大勢の人。
「それ河原へ下りたぞ、向うの岸へ合図をしろ」