Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Read 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 185,112 characters · 362 screens
「エエ、存じておりますとも、赤羽根橋を渡れば真直ぐに行ったところ、金杉橋を渡ると右へ曲ったところが、それでございましょう。あの辺には薩摩と、阿波と、有馬と、伊予の四カ国のお大名のお邸があるから、それで俗に四国町と申すことまで、ちゃあんと存じておりますよ」
「それだ、その四国町のうちでもいちばん大きな、薩摩の屋敷をお前は知ってるだろうな」
「それもよく存じておりますよ、あのお屋敷の前を俗に御守殿前と申しましてね、門は黒塗りの立派なものでございます、屋根は銅葺の破風作りで、鬼瓦の代りに撞木のようなものが置いてございます、正面三カ所に轡の紋がありますから、誰が見たって、これが薩州鹿児島で七十七万石の島津のお屋敷だとわかります」
「なるほど」
そこで山崎譲は懐中から紙入を取り出して、拡げたのは美濃紙大の一枚の絵図面でありました。
「これがその薩摩屋敷だ」
今更のようにその図面を、しげしげとながめます。
「その薩摩のお屋敷が、どうかなすったのですか」
七兵衛も傍から覗き込みました。
「お前も知ってるだろう、近頃、江戸の市中を騒がす悪い奴は、大抵ここから出ているのだ」
「なるほど」