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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Read 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 185,112 characters · 362 screens
彼等はここを立ち出でて、どこへ行こうというのではない、毎晩、夕方になるとこうして馬を引っぱり出して、広い原の方へと出かけます。
茂太郎に言わせれば、馬に水をつかわせ、不自由な弁信には、散歩の機会を与えるためかも知れないが、土地の人は、それを待ち兼ねた見世物でもあるように、駈け出して集まるのが毎晩のことです。集まったもののうちの子供たちは、地面を叩きながら茂太郎の口笛に合わせて、
やれ見ろ、それ見ろ
筑波見ろ
筑波の山から鬼が出た
と歌い出すものだから、娘たちや若い衆が面白くなって、それにあわして、
鬼じゃあるまい白犬だ
一匹吠えれば皆吠える
興に乗って年寄までが、それに合唱して歌い出すと、おのずから足拍子が面白くなり、馬の前後に集まって、盆踊りの身ぶりで踊りながら町から原へと練り出します。
もしもし
あなたは誰ですか
わたしは盲でござります
だれを探しに来たのです
秋ちゃんを探しに来たのです
三べん廻っておいでなさい
おいでなさい、おいでなさい
この踊りが噂に広がって、北は相馬、南は葛飾、東は佐倉の方面から、小金の町へ人が集まって来ます。
噂を聞いて、踊りを見物せんがために来た者が、知らず知らず興に乗って、自らが踊りの人とならないのはありません。