Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Read 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 242,044 characters · 477 screens
「いやナニ、せっかくでございますから、あちらまでおともをさせていただきましょう」
「若い衆さん……」
がんりきが、隠居のしもべを見ていいました。
「お帰んなすって下さい、私が殿様のおともを致して、無事にお送り申し上げて参りますから、御安心なさるように……おっと、それはおみやげでございますか、がんりきが頂戴して持って参りましょう」
といって、僕の手にしていた美酒一樽を、早くもがんりきが受取ってしまいました。
隠居の僕はぜひなくお暇をいただいたわけで、がんりきの百蔵が代っておみやげの美酒一樽をぶらさげ、提灯は断わってしまって、二人が相携えて、大平山を大中寺の方へ、山間の小径を伝うて下ります。
「がんりき、そちはどこで拙者の隠れ家を聞いて来た」
「ええ、福村様から承って参りました」
「福村から? 福村はどうしている」
「相変らず……お盛んな御様子でございました」
「そうか」
「時に神尾の殿様、あなた様はいったい、もうこの土地で、一生を埋めておしまいになるつもりでございますか、江戸の方には未練をお残しなさるようなことはございませんのですか」
「そうさなあ、住めば都の風といって、このごろのように行い澄ました心持になってみると、こういった生涯にもまた相当の味があるものでな」