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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Read 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 242,044 characters · 477 screens
と一座の長老がいう。
「湯加僧正は、このほど、京都の智積院へ帰られたそうな」
その次のがいう。
「それは惜しいことを致したわい、僧正がおられたら、お目通りをして声明秘伝を伺いたいものと思うていました」
「残念なこっちゃ」
その話しぶりは、おのずから型に入っているが、それはこの連中だけで特にこしらえた型らしい。そういう型をこしらえたのは、つまり、おのおのの生れ国のなまりをゴマかすためだと、七兵衛が早くもかんづきました。
しかのみならず、この連中、よく見れば見るほど生え抜きの神楽師ではない。神楽師でないと思って見直すと、町人にも、百姓にも、そのほかの遊芸人にも見えない。どうしてもさむらいである。さむらいだなと思って見ると、面ずれもあれば、竹刀ダコも見えるというわけで、七兵衛は、とうとうこの連中を、上方から神楽師に仮装して、江戸へ乗込むものだと鑑定をしてしまいました。
そうしてみると、七兵衛のように、浪人たちの表裏をくぐって来た人間には、何の目的で、西から来て東へ下るのだか、おおよその見当をつけるに骨は折れません。
そこで、ひとつ探りを入れてみる気になりました。