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てんぐがいでん きられのせんた
天狗外伝 斬られの仙太
三好 十郎
Read 天狗外伝 斬られの仙太 (てんぐがいでん きられのせんた) by 三好 十郎 (みよしじゅうろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 122,347 characters · 243 screens
揚幕より、後ろから突転ばされるようにして出て来る二人の男。後より天狗党の歩哨、これは抜刀している。二人の男は恐怖のために真青になってガタガタ顫え一言も口が利けず、足腰もガクガクしている。男一は四十年輩の豪農の大庄屋らしく、男二は五十過ぎの、平常ならばいかにも剛腹そうな、町方の質・両替・金貸を業としている男。二人とも天狗党から呼出しを食って余儀なくやって来た者で、男一は紋付に袴のももだちを取り、白足袋はだし。男二も紋付の羽織袴でこの方はももだちこそ取っていないが、羽織のえもんが乱れ、袴のすそが地に垂れて、そのすそを、時々自分で踏みつけて前に突んのめりそうになる。袴の下から覗いている腿引の付け紐がほどけてしまって引きずっているのが見える。男二はフロシキに包んだかなり重そうな物を抱えている。もちろん二人とも無腰である。
歩哨 ええい、早く歩べと言うたら!(右手に持った白刃を二人の頬の辺にチラチラさせながら、左手で二人の肩の辺をこずく。二人のめり歩く)
男一 ……お、お、お願い、で、ご、ござりまする!
歩哨 だから早く歩べと言うのだ。今頃になってノコノコ来るからにゃ、どんなことになるか覚悟の上だろう。