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てんぐがいでん きられのせんた

天狗外伝 斬られの仙太

三好 十郎

Read 天狗外伝 斬られの仙太 (てんぐがいでん きられのせんた) by 三好 十郎 (みよしじゅうろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 122,347 characters · 243 screens

Aozora Bunko

隊一 元々あれは、田丸先生の内命を受けて使いに出た者ではないのかなあ? それが吉村や薩賊と往来するなどとは怪からん。全体田丸先生など今でも甚伍左を信頼していられるのか?

隊二 さあ、隊はよく知らぬ。……一寸待て。(と右手屯所の方へ去る)

遠くで微かに銃声。揚幕の方より仙太郎が小走りに出る。身なりは前といくらも変っていないが、素袷すそ取りの胸に黒漆の胴を付け、草鞋ばきの素足に一個所繃帯し、他にも一、二ヶ所血のにじんでいる薄手を負うている。既に所々に転戦して生き延びて来た男の面魂である。明るいノンキな表情をしている。分捕ってでも来たらしい五、六本の大刀――中の二、三本は鞘がなくて抜身のまま――を無造作に荒縄で束にくくった奴を肩にかつぎ、自分の刀は腰に閂に差し、それだけはよいが、どう言うものか木綿のしごきで真中をキュッとしばった砥石を、肩から背中の方へ下げている。

仙太 (柵を見て)おお来た。いやにどうも持ち勝手のよくねえ代物だ。(七三に止り、刀の束を肩から下ろして、左手で横なぐりに額の汗を拭きながら見渡し桜を目にとめて)やれやれ盛りだ。ここらあたりは山家ゆえ、紅葉のあるのに雪が降る、か。