Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

てんぐいわのさつじんま

天狗岩の殺人魔

山本 周五郎

Read 天狗岩の殺人魔 (てんぐいわのさつじんま) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 8,872 characters · 18 screens

Aozora Bunko

「うぬ、殺して呉れるぞ」

悪鬼のような形相で振返るや、逆に猛然と殴りかかって来た。祐吉はひっ外して相手の腕を肩へ、腰をおとして見事な一本背負だ。

「えイッ」

力任せに叩きつける。京太郎の体は地響うって崖縁へ落ちたが、岩地が脆くなっていたのであろう、ぐらり無気味に傾いたと思うと、京太郎の体を載せたまま、その一部がガラガラガラッと凄じく崩壊した。

「あっ」「ああーッ」

手を伸ばしたが間に合わなかった。――京太郎は馬車と運命を共にしたのである。平野氏と祐吉は暫く声もなく立竦んでいた。

恐るべき奸計はその最後の一歩前で曝かれた。

京太郎は善良を装いながら、実は最も不良な青年であった。彼はふしだらな生活で莫大な借金に責められ、伯父から金を引出して穴埋めをしようと、「火山岩を金にする発明」などという嘘をついたが、――平野氏がおいそれと金を出さぬと知って、遺産をめあてに平野氏殺害を思い立ったのである。

そこで、平野氏が例の道をよく馬車でドライブするのを利用し、天狗岩を落して馬車諸共粉砕しようと考え、石屋の源助に金をやって天狗岩の根元を削らせた――何と云って削らせたか、源助も京太郎も死んだ今となっては分らぬが、兎に角源助は一日五円という金に眼がくらんだのであろう。