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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Read 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 104,139 characters · 208 screens
「此処は何処だえ」
「馬鹿野郎、手前の巣を忘れる奴があるかい。水際へ降りて面でも洗って来あがれ」
そう言い乍ら、もう一つ私の脇腹を蹴飛ばすのは、辻の六蔵という仲間では面の良い乞食、腕も頭も私と張り合って、ツイ両雄並び立たないような破目に臨んで居る厄介な男でした。
「三公、手前、気でも触れやしないか」
「何を?」
「頭は蜻蛉見てえに光って、身体が嫌に生っ白くなったじゃ無えか」
「えッ……」
そう言われて見ると成程、私の手足は陽に焦けては居るが小薩張りと洗い浄められて、顔はわかりませんが、頭の毛も何うやら油か何んかで後ろへ撫で付けてあります。
「鼻持のならねえ匂いだ、お若坊に見せようて積りだろうが、そんな地者のおしゃれはこちとらの仲間には通用しねえよ」
「何んだと」
「気障な野郎っちゃ無い。大溝へ頭でも突っ込んで出直して来あがれ」
パッと埃を蹴返すと、横っ飛に橋の袂へ駈け上ります。
「野郎ッ」
と言ったが及びません。
又仕返しをする事もあるだろう――と言った、淡い忿怒とも哀愁とも付かぬ心持で、橋の上へ這い上ると、私も平常の持場の観音様の裏手の方へ出動して行きました。
「ちょいと三ちゃん」