Japanese reading practice

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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

Read 如何なる星の下に (いかなるほしのもとに) by 高見 順 (たかみじゅん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 119,508 characters · 236 screens

Aozora Bunko

と末弘が言った。「今のおッつぁんは、天中軒トコトンですよ。昔、江川の玉乗りで鳴らした……」

私は子供の時分、江川の玉乗りか青木の玉乗りか、どっちかわからぬが一度見た記憶はあるが、芸人の名前は覚えてない。

「とッても鳴らしたもんらしいが、今はもう駄目で……」

では、今は何をやっているのかと聞くと、今でも玉乗りをやっている、頑強に玉乗りを守っていて、一家揃って玉乗りをやっているという返事。玉乗りなんて今でもあるのかとちょっと魂消て聞くと、「まあ、たまに寄席やお座敷の仕事なんかがね。普段はもっぱら紙袋貼り、――朝早くから夜おそくまで、トコトンさんを初めとして、かみさんに息子、娘、一家総動員でエッサエッサと紙を貼ってまさア」ふーん、気の毒にねと私が言うと「それが、――気の毒なわけではないんですよ。トコトンさんは金をゴマンと蓄め込んでいるんですからね」そして困っている芸人などには、ほんとうの親切心で、金を貸し与えたりしているという。その義侠心で、苦境を救われた芸人はたくさんいるとのこと。末弘はつづけて語るのだった。――変ったおッつぁんです。さっきだって、ボロボロの綿入れを着ていたでしょう。