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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
Read 如何なる星の下に (いかなるほしのもとに) by 高見 順 (たかみじゅん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 119,508 characters · 236 screens
(これは、朝野の言葉である。)
そこへ行くまで、朝野は、どうしたのか、――アパートでは独りで、熱にうかされた人のようにまくし立てていた朝野だのに、いや、そのせいでか、不機嫌な風に黙りこくって、私の先をトットと行った。その上った肩は、そういう肩つきなのか、それともわざと肩を怒らしているのか、――肉がてんで無くて骨がゴツゴツなのを、色がわりしたヘラヘラの二重回しの外にありありと出していた。朝野は、その落魄の感じをいたましく漂わした肩を、さよう、その落魄感を大事に骨の上に載せていて、落してはならないとしてでもいるように微動だにさせず、まるで幽霊のようにすうッと身体を前に進ませていたが、幽霊と違うのは、摩り切れて草履のような下駄から発せられるところの、シャッシャッという一種快適なリズミカルな音であった。その音、そしてその歩き方を、朝野は楽しんで、――いとおしんでいるような風であった。
――泡盛屋はスタンドの前に五六人並ぶといっぱいになる狭い店で、肥った婆さんがひとりでやっていた。娘を映画俳優に嫁がせていて、この婿は今はまるで不遇だが、もとはちょっと売り出しかけたことがあり、そんな関係からか、高田稔などから贈られた、でも今はすっかり色の褪せた暖簾がかかっていた。