Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
Read 如何なる星の下に (いかなるほしのもとに) by 高見 順 (たかみじゅん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 119,508 characters · 236 screens
「区役所の前の」
「ああ、あすこですか。まだ……」
「入ったことがない? 駄目ですな」
「…………」
「なかなかいいですよ。倉橋君は浅草を何も知らんですな。――あれは小堀遠州が作ったとかで、京都の桂離宮と同じ、回遊式庭園というんだそうで」
(これは、後に知ったが、庭園の入口にちゃんと書いてあるのだ。)
「玉木座の前のところの、塀で囲ってある……」
と、サーちゃんが口を挟んだ。
「うん」
「あたしも入ったことないわ。話は聞いてるけど」
朝野は苦笑した。
「いいお庭?」
「そりゃ、いいさ」
ヘンに力んで、
「ランデヴーなんかには、もってこいだ。――どうです。倉橋君、ひとつ小柳君とランデヴーに行っては」
そう言って、――あわててその言葉を揉み消そうとするような勢い込んだ声で、
「江戸の雰囲気の漂っている実にいい庭だが……。裏の野口食堂あたりから、妙な流行歌のレコードなんかが、ガーガー響いてきて、こいつがどうもぶちこわしだ。それに江戸情緒の庭の向うに、ひどく現代的な区役所のサイレンの拡声機などが聳えていて、そんなのがどうも変ですがね」
釜めしが運ばれて来た。
「さあ、おあがり」
と、朝野は言って、