Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ようかいほうこく

妖怪報告

井上 円了

Read 妖怪報告 (ようかいほうこく) by 井上 円了 (いのうええんりょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 7,653 characters · 15 screens

Aozora Bunko

元来、不文の小生に候えば、しばしば文の支離錯雑の段は、御判読を願いたく候。

三更、人定まり、四隣寂として声なし。小鳥、小生の枕辺に来たり、小生に訴えて申すよう、「限界もなき蒼空を住家となし、自在に飛揚し、自在に囀り、食を求めて啄み、時を得て鳴き、いまだ人間の捕らえて、籠裏に蟄居せしむるがごときことあるを知らざりき。不幸ひとたび先生の網羅にかかり、この籠裏に入りしより、食を得、飲を求むるにおいては労することなしといえども、かの空中自在の飛揚に比すれば、その苦と歓とは果たしていかんぞや。余や、この籠を居となす、すでに一年。その間、先生により、つつがなきを得たり、多謝深謝。さりながら、事と物とはままならぬことのみ多き浮き世の悲しさ、今や余が一身は一魔物のために掠め去られ、ふたたび先生を見ることを得ず、先生また、余を愛することあたわざらんとす。請う、先生よ、余を愛したる念情はこれを他鳥に移せ。しかれども、余にもまた翅翼あり、なお飛揚の術を忘れず。魔物来たりて余を掠めんとせば、余は全力を飛逃に尽くし、その爪牙を逃るることをつとむべし。万一この計のごとくなるを得ば、再び来たりて先生の愛鳥の列に加わらん」