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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Read 妖虫 (ようちゅう) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 120,290 characters · 239 screens
……まあざっとこういう訳だよ。そして、わしはとうとう目的を達したのさ。恋こがれる青眼鏡の大将をとって押えることが出来たという訳さ。ハハハ……」
偽探偵はこの長話の間、絶えず「畜生め、畜生め」と呟きながら、口惜しさに地だんだを踏まぬばかりであったが、青眼鏡の方はと見ると、流石に猛虫蠍を以て自任する怪物、発砲をさける為めに手こそ挙げていたけれど、老探偵の手柄話など、どこを風が吹くかと、色をも変えず聞流していた。
「お爺さん、御託はそれでおしまいかね」
彼はやっぱり地の底からの様な声で、憎まれ口を叩くのだ。
「ウン、おしまいだよ。わしの御託が終ると、さてお前さんに繩をかける順番だね」
「繩を? ヘエ、その老いぼれ一人でかね。お爺さん、こっちあ大の男が二人だぜ。繩なんかかけている隙に、こっちはそのピストルを叩き落して、あべこべに、お爺さんを縛っちまうぜ。年寄りの冷水は止しにした方がよくはないかね。向う見ずなお爺さんだ」
「ワハハハ……、そいつはちっと自惚が強過ぎる。向う見ずか見ずでないか、よくあたりを見廻してから物を云って貰いたいね。わしがさい前から、長話を続けていたのは、なぜだと思うね。