Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
いえ
家
島崎 藤村
Read 家 (いえ) by 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 141,411 characters · 285 screens
勝手の方から来たお俊は、叔父の傍へ寄って、親しげな調子で言った。この姪は三吉を頼りにするという風で、子が親に言うようなことまで話して聞かせようとした。
「どうして夏はこんなに――」
と復たお俊は言って、うしろむきに身を斜にして見せた。彼女は、乾きくずれた束髪の根を掴んで、それを叔父に動かして見せたりなぞした。
庭の洗濯物も乾いた。二人の姪は屋外に出て着物や襦袢を取込みながら、互に唱歌を歌った。この半分夢中で合唱しているような、何となく生気のある、浮々とした声は、叔父の心を誘った。三吉は縁側のところに立って、乾いた着物を畳んでいる娘達の無心な動作を眺めた。そして、お雪や正太の細君なぞに比べると、もっとずっと嫩い芽が、最早彼の周囲に頭を持ち上げて来たことを、めずらしく思った。
蘇生るような空気が軒へ通って来た。夕方から三吉は姪を集めて、遠く生家の方に居るお雪の噂を始めた。表の方の農家でも往来へ涼台を持出して、夏の夜風を楽しむらしかった。ジャン拳で負けて氷を買いに行ったお延は、やがて戻って来た。お俊はコップだの、砂糖の壺だのを運んだ。
「皆なに御馳走するかナ」