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よせとしばいと
寄席と芝居と
岡本 綺堂
Read 寄席と芝居と (よせとしばいと) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 26,084 characters · 52 screens
その後、どこかの小芝居で「牡丹燈籠」上演をしたかどうだか知らないが、大劇場で上演したのは春木座の鳥熊芝居から五年の後、すなわち明治二十五年七月の歌舞伎座である。歌舞伎座では其の年の正月興行に、やはり円朝物の「塩原多助一代記」を菊五郎が上演して、非常の大入りを取ったので、その盆興行にかさねて円朝物の「牡丹燈籠」を出すことになったのである。脚色者は福地桜痴居士であったが、居士はこうした世話狂言を得意としないので、さらに三代目河竹新七と竹柴其水とが補筆して一日の通し狂言に作りあげた。初演の年月から云えば、春木座の方が五年の前であるが、それは已に忘れられて、「牡丹燈籠」の芝居といえば、一般にこの歌舞伎座を初演と認めるようになってしまった。
歌舞伎座初演の役割は、宮野辺源次郎(市川八百蔵、後の中車)萩原新三郎(尾上菊之助)飯島の娘お露(尾上栄三郎、後の梅幸)飯島平左衛門、山本志丈(尾上松助)飯島の妾お国、伴蔵の女房おみね(坂東秀調)若党孝助、根津の伴蔵、飯島の下女お米(尾上菊五郎)等で、これも殆んど原作の通りに脚色されていたが、孝助の役が原作では中間になっているのを、中間では余りに安っぽいと云うので若党に改めた。