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ずいひつ よせばやし
寄席囃子 正岡容寄席随筆集
正岡 容
Read 寄席囃子 正岡容寄席随筆集 (ずいひつ よせばやし) by 正岡 容 (まさおかいるる) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 112,259 characters · 222 screens
破れ布に破れ傘、これも誰ゆえ小桜ゆえ。つまり亭主を芸者に奪われた女性がとたんに自らもダンサーか花街に身を投じたごとく、私もまたその歌姫への面当てに、落語家たらむとは決意したのだというところで、さて第一章の紙数が尽きた。
第二話 落語家時代
私が、宝塚少女歌劇のスターとの恋を失って、そのため文士くずれの落語家たらむと志したに至るまでは、すでに書いた。
が、私のことにすると、単に寄席の高座へばかり上がりたかったのではなく、一個、変わり種の落語家として、じつはあっぱれ宝塚の大舞台へ一枚看板で押し上がり、彼女を見返してやりたかったのだ。でなければいくら当時の私の売文先が「苦楽」はじめ多く関西だったとしても、敵城近く乗り込んだりすることはなかったろう。そののち小林一三先生の辱知を得た時、先生は私に君は落語家でなく、役者になったらどうだ、それならうちの舞台を貸すがと言われたが、私は立ち上がって何かを演る方の自信はなかったので御辞退した。だから、またそののち数年、旧知古川緑波君がたしか山野一郎君と相携えて宝塚のステージへ一躍映画記者から転身出演し、花のおとめたちにかこまれて虹色のライトを縦横に浴び、いと華やかなフィナーレまで演じて、小林先生から当時の出演料で金一千円也をもらったと聞いた時には、嘘もかくしもなく、