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ずいひつ よせばやし
寄席囃子 正岡容寄席随筆集
正岡 容
Read 寄席囃子 正岡容寄席随筆集 (ずいひつ よせばやし) by 正岡 容 (まさおかいるる) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 112,259 characters · 222 screens
鶴輔からなった今の鶴枝も、しかし、けっして愚昧でもない。第一、楽に時代と一緒に歩いているところに、先代同様の怜悧を感じる。この頃、高座中真っ暗にして紅青いろいろの花火を焚いたりすることも、ますます百まなこ精神からは邪道なわけだが、凝ってあたわざりし思案だとも思えない。この男のでは、仁丹の広告が、時代的で妙に好きだ! 兵隊さんの行軍も先代のそれとちがって、もはや新世紀のカーキ色なることが大正味感が感じられていい。近頃、さらにその行軍から想いついて、マラソン競走を同じ段どりでみせている。まだ兵隊ほどこなれないが、いだてんの合方をひかせてやるのなど、いよいよ大正風景で愉快である。なんとも奇妙千万なのは、扇面で顔をかくして、いやらしい蝸牛の顔つきを見せるのがある。あれは北斎漫画でも見ているようにものあやしい。
だが総じて百面相は下座で、旧時代な楽隊の合方なんぞを思いもかけず、ひきだしてくれたりする時が明治情調で一番私は愉悦をおぼえる。
ただ一つ、ここに特記しておきたいのは福圓遊だ。あの男の百面相ほど、まずい、智恵のない、しかし好感のものはない。瓜生岩子の銅像や、喇叭ぶし高らかに村長さんの吉原見物や、みんな今は時代とあまりにも縁なき衆生! の風物詩ばかりを、飽きずにいつもとことことやっている、身装のほどもお粗末