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こざかなひもののあじ
小ざかな干物の味
北大路 魯山人
Read 小ざかな干物の味 (こざかなひもののあじ) by 北大路 魯山人 (きたおおじろさんじん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 1,861 characters · 4 screens
しかし、この干もの、松葉がれいは難を言えば美味すぎることである。およそなんでも美味すぎるということは、特等品にはならない。美味すぎるために、特等を下って一等品となる。総じて美味すぎるものは、最高級美食とは言いがたい。その点では、関東方面にあるやなぎがれいなど、実に特等品の座を占めるだろう。と言っても、松葉がれいは、その漁獲がやなぎがれいのごとくおびただしくないから、その美味さと漁獲の少なさから、いやおうなしに、松葉がれいが特等の王座を占めるといったふうな干ものである。
伊豆諸島出来のクサヤの干もの、これは上方の食通には、嗅覚が堪えられないと敬遠されるものであるが、美味さにおいて干もの中の白眉であると言えよう。この干もの、近頃は昔のような製造法をもって生産されず、通人を淋しがらせている。
富山方面の氷見いわしの丸干しなども、いわしとしては優れた美味さを持つものであるが、所詮いわしの味としての美味さにすぎない。ところがクサヤの干ものとなると、あじにしてあじの味にあらざるまでアクの抜けているところに、妙味が存し、独特の立場を堅持していると言えよう。
上方で一流のきすの醤油干し、若狭の松葉がれい、興津、熱海のあまだい、静岡のやなぎがれいなどが、なんと言っても干もの中での高級に属し、他はやや下手ものに属するもの