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こはるのきつね
小春の狐
泉 鏡花
Read 小春の狐 (こはるのきつね) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 13,102 characters · 27 screens
――真打だ。本望だ。
「山の神さんが下さいました。」
浪路はふたたび手を合した。
「嬉しく頂戴をいたします。」
私も山に一礼した。
さて一つ見つかると、あとは女郎花の枝ながらに、根をつらねて黄色に敷く、泡のようなの、針のさきほどのも交った。松の小枝を拾って掘った。尖はとがらないでも、砂地だからよく抜ける。
「松露よ、松露よ、――旦那さん。」
「素晴しいぞ。」
むくりと砂を吹く、飯蛸の乾びた天窓ほどなのを掻くと、砂を被って、ふらふらと足のようなものがついて取れる。頭をたたいて、
「飯蛸より、これは、海月に似ている、山の海月だね。」
「ほんになあ。」
じゃあま、あばあ、阿媽が、いま、(狐の睾丸)ぞと詈ったのはそれである。
が、待て――蕈狩、松露取は闌の興に入った。
浪路は、あちこち枝を潜った。松を飛んだ、白鷺の首か、脛も見え、山鳥の翼の袖も舞った。小鳥のように声を立てた。
砂山の波が重り重って、余りに二人のほかに人がない。――私はなぜかゾッとした。あの、翼、あの、帯が、ふとかかる時、色鳥とあやまられて、鉄砲で撃たれはしまいか。――今朝も潜水夫のごときしたたかな扮装して、宿を出た銃猟家を四五人も見たものを。