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しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Read 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) by 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 83,234 characters · 160 screens
伊勢の海の千尋の浜に拾ふとも
今は何てふかひかあるべき
又、小野宮左大臣実頼の女子で、彼が「みくしげ殿の別当」と呼んでいる人を、久しく恋いわたりながらなか/\逢うことが出来ないので、或る年の師走の晦日に、
もの思ふと過ぐる月日も知らぬまに
今年もけふに果てぬとか聞く
と書いて送ったが、父の左大臣が事情を嗅ぎつけていよ/\逢わせないようにしたので、又次のように書いて送った。
いかにしてかく思ふてふことをだに
人づてならで君に語らん
季縄の少将の女子の右近と云う人とも、此の女がまだ宮中に奉公をしていた頃に云い交したことがあったが、後に宮仕えを止めて里へ帰ってからは、ふっつり訪ねても来ないようになったので、女の方から、
忘れじと頼めし人はありときく
いひしことの葉いづちいにけん
と云ってやると、矢張何とも返事はしないで、雉子を贈ってよこしたので、女が重ねて云ってやった。―――
栗駒の山に朝たつ雉子よりも
かりにあはじと思ひしものを
此の外に、長男の助信の母に当る人で、参議源等の女子もいるが、なお敦忠集に、「はじめの北の方」と呼ばれている女や、「すけまさの母君」と呼ばれている女が見えるのは、前記の女たちの中の人々か別の人々かよく分らない。