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しょうねんのひのひあい
少年の日の悲哀
小川 未明
Read 少年の日の悲哀 (しょうねんのひのひあい) by 小川 未明 (おがわみめい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,186 characters · 9 screens
」
と、三郎はじめ他の子供がいいましても、その子供の母親は耳に入れません。なんでも犬を悪いことにしてしまって、ボンを見るといじめたのであります。
ボンは隣のばあさんと、その弱虫の子供の母親から、さんざん悪くいわれました。
「三郎や、あんなに、ご近所でやかましくおっしゃるのだから、ボンを、だれかほしいという人があったら、やったらどうだい。」
と、姉や祖母が、三郎にいいました。
三郎はそこで考えました。しかしどう考えてみましても、ボンにすこしの悪いとこところがありませんものを、そして自分がこんなにかわいがっていますものを、ほかにやらなければならぬという理由がないと思いました。
「だって犬がなんにもしないのに、犬をしかる道理がない。これは人間のほうが、かえって悪いのじゃありませんか。僕はいくら近所でやかましくいったって、犬が悪くないのだから、ほかへやるのはかわいそうでなりません。もしほかへやったら、どんなに悲しがって泣くかしれません。」
と、三郎は、姉や祖母にいいました。
隣のばあさんは、犬をしかりながら、自分の家の猫はひじょうにかわいがっていました。もし夜中に外で、猫が猫とけんかでもしていますと、ばあさんは起きて出て、物干しざおを持ってきて、猫がけんかをして鳴いているほうへゆきました。