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こさかいふぼくしゅうはしがき

少年科学探偵

小酒井 不木

Read 少年科学探偵 (こさかいふぼくしゅうはしがき) by 小酒井 不木 (こざかいふぼく) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 152,885 characters · 308 screens

Aozora Bunko

「どうだ、何か有力な手掛かりが得られたかね」

と私が聞くと、

「駄目駄目、何の変わった所見もない、ただ右の拇指に胡椒の粉が少し着いていたくらいのものだ」

「胡椒?」

と私は言って考えました。

「考えるまでもないよ、大方西洋料理でも食べたんだろう」

と俊夫君はこともなげに言いました。

「耳の垢には何か珍しいものでもなかったかね」

「いや何にもない、シャツのポケットのごみの中にも、これというものが発見されない。僕は墓地で死体を見た瞬間、この事件は難物だと思ったが果たしてそうだった。この上は解剖の結果を待って、何かの手掛かりを得るより他に仕方がない」

そのとき入口のベルが鳴ったので、私が開けにいきますと、そこには他ならぬ小田刑事が立っておられました。

小田さんが中に入るなり、俊夫君は解剖の結果を尋ねました。

「あれからすぐ死体を警視庁に運んで解剖してもらうと、死ぬ二時間ほど前に、死人は洋食を食べたことが分かった」

私たちは思わず顔を見合わせました。小田さんは私たちに頓着なく言葉を続けました。

「それはビーフカツの消化の程度で分かったのだ。殺されたのがゆうべの十二時だとすれば、ビーフカツを食ったのはたぶん十時前後だと思われる」