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こさかいふぼくしゅうはしがき

少年科学探偵

小酒井 不木

Read 少年科学探偵 (こさかいふぼくしゅうはしがき) by 小酒井 不木 (こざかいふぼく) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 152,885 characters · 308 screens

Aozora Bunko

「そういえばそうだねえ」

と、小田さんは俊夫君の推理に敬服したような調子で言いました。

「だが、後ろからだかまえて殺したとなると、心臓部を刺すのはおかしいじゃないか、右の胸に短刀の傷があってしかるべきじゃないか」

「そこですよ、肝要な点は」

と、俊夫君は、勝ち誇ったような態度で言いました。

「おっしゃるとおり、もし犯人が右利きならば、心臓部を刺すのはおかしいです。ですから、僕は心臓部が刺され、しかも、それが後ろからだかまえて行われたものであるから、犯人は左利きの男であると推定したのです」

「え? 左利き? なるほどそうか。じゃ、甚吉が左利きか右利きかを検べればよい」

「そうです。もし甚吉が右利きだったら、すぐさま放免してやってください」

「それじゃ、今から、検事局へ電話をかけて尋ねてみよう」

「いや、かけるまでもありませんよ」

「なぜ?」

「たとい甚吉が左利きでも、彼は犯人ではありません」

「どうして?」

「十一時に浅草の家を出て、老松町まで行った甚吉が、十二時頃に帰ってきて主人を殺すはずがありません」

「けれども、甚吉は途中で引きかえしたかもしれん」

「しかし、先方の篠田家が留守だということは主人も知らず、彼もむろん知らなかったに違いありません。