Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
やねうらのさんぽしゃ
屋根裏の散歩者
江戸川 乱歩
Read 屋根裏の散歩者 (やねうらのさんぽしゃ) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 28,862 characters · 57 screens
それに、あの時、懐中電燈で十分検べた筈ではありませんか。
「君が殺したのではないかね。遠藤君は」
明智は無邪気にニコニコしながら、――それがこの場合一層気味悪く感じられるのです――三郎のやり場に困った目の中を、覗き込んで、とどめを刺す様に云うのでした。
三郎は、もう駄目だと思いました。仮令明智がどんな巧みな推理を組立てて来ようとも、ただ推理丈けであったら、いくらでも抗弁の余地があります。けれども、こんな予期しない証拠物をつきつけられては、どうすることもできません。
三郎は今にも泣き出そうとする子供の様な表情で、いつまでもいつまでも黙りこくって衝立っていました。時々ボンヤリと霞んで来る目の前には、妙な事に、遠い遠い昔の、例えば小学校時代の出来事などが、幻の様に浮き出して来たりするのでした。
それから二時間ばかり後、彼等はやっぱり元のままの状態で、その長い間、殆ど姿勢さえもくずさず、三郎の部屋で相対していました。
「有難う、よくほんとうのことを打開けて呉れた」最後に明智が云うのでした。「僕は決して君のことを警察へ訴えなぞしないよ、ただね僕の判断が当っているかどうか、それが確めたかったのだ。