Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
やまぶき
山吹
泉 鏡花
Read 山吹 (やまぶき) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 16,366 characters · 34 screens
」と言って行き過ぎました。成程……貴女の事でしたか。お連になって一所に出掛けたとでも思ったでしょう――失礼します。
夫人 まあ、先生。……唯今は別々でしたけれど、昨夜おそく着きました時は、御一所でございましたわ。
画家 貴女と……
夫人 ええ。
画家 存じませんな。
夫人 大仁で。……自動車はつい別になりましたんですが、……おなじ時に、――
画家 私は乗合でしたがな――さよう……お一方、仕立てた方があったように思いますが、それは、至極当世風の髪も七三で……(と半ば言う。)
夫人 その女が……(やや息忙しく)その女が、先生、宿へ着きますと、すぐ、あの、眉毛を落しましたの。(顔を上げつつ、颯とはなじろむ)髪もこんなにぐるぐる巻にしたんです。
画家 ははあ。(いぶかしそうに、しかし冷静に聞くのみ。)
夫人 先生。(番傘を横に、うなだれて、さしうつむく。頸脚雪を欺く)宿の男衆が申したのは、余所の女房という意味ではないのです。(やや興奮しつつ)貴方の奥さまという意味でございました。
――間――
画家 (かくても、もの静に)……と仰有ると?
夫人 昨晩、同じ宿へ着きますと、直ぐ、宿の人に――私は島津先生の――あの私は……(口籠る。