Japanese reading practice

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さんしょううお

山椒魚

北大路 魯山人

Read 山椒魚 (さんしょううお) by 北大路 魯山人 (きたおおじろさんじん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 2,837 characters · 6 screens

Aozora Bunko

中国の『蜀志』という本には、

「山椒魚は木に縛りつけ、棒で叩いて料理する」

と出ているということであるが、山椒魚の料理法など知っているものは、そういないだろう。私も初めて山椒魚を料理するときには、この話を思い出し、その伝でやってみた。

震災前のことだから、大分古い話になるが、水産講習所の所長をしておられた伊谷二郎という人が、山椒魚を三匹手に入れたというので、そのうちの一匹を私に贈ってくれたことがあった。二尺ぐらいのものであったろうか、大体がグロテスクな恰好をしているし、肌もちょっと見は、いかにも気持の悪いものであるが、俎の上に載せてみると、それほど気味悪くは感じない。ガマのような嫌な気はしない。

八新の主人公の伝で、頭にカンと一撃を食らわすと、簡単にまいって、腹を裂いたとたんに、山椒の匂いがプーンとした。腹の内部は、思いがけなくきれいなものであった。肉も非常に美しい。さすが深山の清水の中に育ったものだという気がした。そればかりでなく、腹を裂き、肉を切るに従って、芬々たる山椒の芳香が、厨房からまたたく間に家中にひろがり、家全体が山椒の芳香につつまれてしまった。