Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
みんざんのいんし
岷山の隠士
国枝 史郎
Read 岷山の隠士 (みんざんのいんし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 9,095 characters · 19 screens
県令は李白へこう云った。
十歳の李白は声に応じて云った。
「焔ハ紅日ニ隨ツテ遠ク、煙ハ暮雲ヲ逐ツテ飛ブ」
県令は苦々しい顔をした。それは自分よりも旨いからであった。
五歳にして六甲を誦し、八歳にして詩書に通じ、百家を観たという寧馨児であった。田舎役人の県知事などが、李白に敵うべき道理がなかった。
ある日美人の溺死人があった。
で、県令は苦吟した。
「二八誰ガ家ノ女、飄トシテ来リ岸蘆ニ倚ル、鳥ハ眉上ノ翆ヲ窺ヒ、魚ハ口傍ノ朱ヲ弄ス」
すると李白が後を継いだ。
「緑髪ハ波ニ隨ツテ散リ、紅顔ハ浪ヲ逐ツテ無シ、何ニ因ツテ伍相ニ逢フ、応ニ是秋胡ヲ想フベシ」
また県令は厭な顔をした。
で李白は危険を感じ、事を設けて仕を辞した。
詩的小人というものは、俗物よりも嫉妬深いもので、それが嵩ずると偉いことをする。
李白の逃げたのは利口であった。
剣を好み諸侯を干して奇書を読み賦を作る。――十五歳迄の彼の生活は、まずザッとこんなものであった。
年二十性儻、縦横の術を喜び任侠を事とす。――これがその時代の彼であった。
財を軽んじ施を重んじ、産業を事とせず豪嘯す。――こんなようにも記されてある。