Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

こうじょうさいぼう

工場細胞

小林 多喜二

Read 工場細胞 (こうじょうさいぼう) by 小林 多喜二 (こばやしたきじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 91,234 characters · 184 screens

Aozora Bunko

――この道楽爺! 飯もロク/\食えねえ時に!

母はその度に怒鳴った。その外のことでは、ひどい喧嘩になることがあっても、鉢のことだと父は不思議に、何時でもたゞニヤ/\していた。――父はおかしい程それを大事にした。帰ってくると、家へ上る前に必ず自分で水をやることにしていた。仕方なく誰かに頼んで、頼んだものが忘れることでもあると、父は本気に怒った。――可哀相に、奴隷根性のハケ口さ、と森本は笑っていた。

――今日の暑気で、どれもグンナリだ。

裏で独言を云っているのが聞えた。

「H・S工場」にも、少し年輩の職工は小鳥を飼ってみたり、花鉢を色々集めてみたり、規帳面にそれの世話をしてみたり、公休日毎に、家の細々した造作を作りかえてみたりする人が沢山いた。職工の一人は工場へ鉢を持ってきて、自分の仕事台の側にそれを置いた。

――花のような美人ッて云うべ。んだら、これ美人のような花だべ。美人の花ば見て暮すウさ。

工場に置かれた花は、マシン油の匂いと鉄屑とほこりと轟々たる音響で身もだえした。そして、其処では一週間ももたないことが発見された。

――へえ!

皆は眼をまるくした。