Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
Read 幕末維新懐古談 (ばくまついしんかいこだん) by 高村 光雲 (たかむらこううん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,821 characters · 10 screens
この人は馬専門の彫刻家であります。……」
というところから、私は、後藤貞行氏の人為と馬について研究苦心された概略を岡倉校長へ紹介しました。
後藤貞行氏は、元は和歌山県の士族で、軍馬局へ勤めている。馬の調査のため奥州地方へ長らく出張して軍馬の種馬について研究し、馬のことといえばその熱心は驚くばかりで、目をねむっていてただ触っただけでも馬の良否が分るというほどに馬のことには詳しい。そういう馬熱心のために馬の絵を描きたいと思い立って日本画の稽古をしたが、どうも日本画では思うように行かない処から、油画の稽古を初めました。これは日本画では肉の高低、蔭日向などが思うように行かないので、さらに洋画をやり出したのですが、洋画でも絵は平面のもので、そっくり丸写しに実物を写すには工合が悪いので、今度は彫刻をやり出しました。これは彫刻なら立体的に物の形が現われて都合が好いと考えたからであります。それで牛込辺の鋳物師の工場で、蝋作りを習って、蝋を捻って馬をこしらえました。
まだ、未熟ではあるが、馬には通暁した人ですから、急所々々の間違いはないものを作った。後藤氏は彫刻ということよりも、馬その物を作るのが本意で、馬の標本になるようなものを作ろうというのが目的で、自分の考え通り一匹の馬を作り上げ、それを鋳物にしてもらう段になったのです