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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
Read 幕末維新懐古談 (ばくまついしんかいこだん) by 高村 光雲 (たかむらこううん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 3,264 characters · 7 screens
しかし、まだ一人前になっていないことで、どうするわけにも行かぬので、私が西町にいる所へやって来て、「どうか、世話をして下さい」といいますので、気の毒とは思うけれども、師匠の家を兄弟子と衝突で暇を取ったものを、直ぐに私が自分の家に置くとあっては、何か私が蔭で操ったように思われるのも嫌ですから、双方理解の後ならばということにして、話が分った後に改めて家に置くことにしました。美雲は、もはや、ほとんど一人前となっているので、仕事をさせても間に合いますから、多少小遣いを与え、私が第二の師匠となって仕込みました。徴兵のがれのために西巻を冒し、林が西巻となったのでした(その後元の林に復す)。美雲の父は鎧師で、明珍の末孫とかいうことで、明珍何宗とか名乗っていて、名家の系統を引いただけに名人肌の人でした。美雲もこうした家の生まれだけあって、仕事は上手で、若さも若し、小刀は能く切れ、仕上げなど綺麗なもので、今日でも、この人位仕上げの美事な腕の人は余り多くはあるまいと思います。作風は、やはり仏師育ちですが、私に就いてから、置き物風のものをも研究しましたが、仏様に関した方のものがやはり得意でした。