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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
Read 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) by 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 81,548 characters · 161 screens
母も黙って出て行く。と、もう廿分も経つと、私が両手に豆捩を持って雀躍して喜ぶ顔を、祖母が眺めてほくほくする事になって了う。
斯うして私の小さいけれど際限の無い慾が、毎も祖母を透して遂げられる。それは子供心にも薄々了解るから、自然家内中で私の一番好なのは祖母で、お祖母さんお祖母さんと跡を慕う。何となく祖母を味方のように思っているから、祖母が内に居る時は、私は散々我儘を言って、悪たれて、仕度三昧を仕散らすが、留守だと、萎靡るのではないが、余程温順しくなる。
其癖私は祖母を小馬鹿にしていた。何となく奥底が見透されるから、祖母が何と言ったって、些とも可怕くない。
それを又勝気の祖母が何とも思っていない。反て馬鹿にされるのが嬉しいように、人が来ると、其話をして、憎い奴でございますと言って、ほくほくしている。
両親も其は同じ事で、散々私に悩まされながら、矢張何とも思っていない。唯影でお祖母さんにも困ると、お祖母さんの愚痴を零すばかり。
私は何方へ廻っても、矢張好い児だ。
五
親馬鹿と一口に言うけれど、親の馬鹿程有難い物はない。祖母は勿論、両親とても決して馬鹿ではなかったが、その馬鹿でなかった人達が、私の為には馬鹿になって呉れた。