Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
はいとうだいのかいちょう
廃灯台の怪鳥
山本 周五郎
Read 廃灯台の怪鳥 (はいとうだいのかいちょう) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 8,578 characters · 18 screens
博士にも北村にも信じられなかったが、新田は確信ありげに繰返し断言した。
「だってそうでしょう」と彼は微笑しながら云うのだ。
「鳥が地面から這上る訳はありませんからね。それにしては少し高過ぎますよ」
「然し、本当に怪鳥が来るのか」
「来ます、必ず来るんです。もう直ぐ先生の眼でそれを御覧になれます」
新田は猟銃を持っていた。――観測室には北村が頑張っている。海面には相変らず夜光虫の活動が旺んで、夢のようにおぼろなその青白い光が、この場面を一層妖しいものにしていた。
五日めの、丁度午前二時頃であった。静かだった空に強い東風が吹きはじめると、
「先生、注意して下さい。この風が怪鳥の来る前触れです。僕がこの猟銃を射ったら、直ぐ観測室へ踏込んで下さい」
「――宜し」
「桂子さんは其処を動かずに」
そう云って、新田は小窓を開け、猟銃の先を空へ向けて身構えた。
深夜二時、夜光虫の輝く海に取囲まれた島、廃墟のような古灯台の絶頂で、殺人怪鳥の現われるのを待つ、この妖しくも奇怪な情景は忘れられぬものだった。――桂子は遉に心弱い少女のこととて、次第に昂まる恐怖を抑えきれず、階段に跼んだまま身を震わせていた。