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のちのなりひらぶんじ

後の業平文治

三遊亭 円朝

Read 後の業平文治 (のちのなりひらぶんじ) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 109,545 characters · 216 screens

Aozora Bunko

評判を致す者があります、併し私は年来此処(こゝ)らを歩いて居りやして、大抵の事は知って居りやすが、まア新潟には無(ね)えようでございますね、尤(もっと)も海岸は広うござんすから、確(しか)とお請合(うけあい)は出来ませぬが、まア此辺(こゝら)は天領でござんしてな、存外御政治も行届(ゆきとゞ)いて居りやすから、そんな事アありそうもござんせぬ、何(なん)なら舟人(ふなびと)を頼んで上げましょうかね」

文「併し見ず知らずのお前様に、御苦労を掛けるも気の毒でござるな」

旅「なアに直(じ)き其処(そこ)でございます、ちょっくら序(つい)でもありますから、じゃア往ってまいりましょう」

文「それはお気の毒な、宜しくお頼み申します」

出て往(ゆ)く後姿(うしろすがた)を見送って、文治は手を鳴らし、

文「これ/\亭主」

亭「へえ、何御用で」

文「今出て行った客は当家へ折々泊る客か」

亭「よく見掛ける人でござりやす」

文「ふうむ、聞けば旅商人(たびあきんど)ということじゃが、渡世(とせい)は何(なん)だか知っておるか」

亭「左様、どうも能(よ)う分りませんね、旦那何かお頼みなら、まア止すが宜(よ)うござりやす」