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のちのなりひらぶんじ
後の業平文治
三遊亭 円朝
Read 後の業平文治 (のちのなりひらぶんじ) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 109,545 characters · 216 screens
出張の役人は文治を駕籠に乗せ、外(ほか)一同は腰縄にて、町奉行石川土佐守(いしかわとさのかみ)役宅へ引立て、其の夜(よ)は一同仮牢(かりろう)に止(とゞ)め、翌日一人々々に呼出して吟味いたしますると、何(いず)れも私(わたくし)が下手人でござる、いや私(わたくし)が殺したのでござると強情を云いますので、誰が殺したのかさっぱり分らぬように成りました。取敢(とりあ)えず文治には乱暴者として揚屋入(あがりやいり)を仰付(おおせつ)け、其の他(た)の者は当分仮牢留置(とめおき)を申付けられました。
六
さて明治のお方様は、昔の裁判所の模様は御存じありますまいが、今の呉服橋内(うち)にありまして、表から見ますと只の屋敷と少しも変った処はありませぬ。只だ窓々に鉄網(かなあみ)が張ってあるだけの事、また屋敷の向う側の土手に添うて折曲(おりまが)った腰掛がありまして、丁度白洲(しらす)の模様は今の芝居のよう、奉行の後(うしろ)には襖(ふすま)でなく障子が箝(はま)っていまして、今の揚弓場(ようきゅうば)のように、横に細く透いている所があります。