Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

おうまじるしはいしゃく

御馬印拝借

山本 周五郎

Read 御馬印拝借 (おうまじるしはいしゃく) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N1. Tap a word for the meaning.

N1 · advanced · modern kanji and kana · 21,483 characters · 43 screens

Aozora Bunko

かれはそのころ勇猛の名を知られた人物で、もとより小徳川氏などは眼中になく、しだいに覊束をやぶり、島田に陣屋を設けたうえ、大井川を越して遠州城東郡の米を奪い、到るところで傍若無人のふるまいを仕はじめた。かくて永禄十二年五月の或る日、徳川家康が馬まわり百騎ばかりをつれて、金谷から大井川の西岸を巡検に出たとき、山県昌景が千五百騎あまりの兵を率いて来るのと出会った、そこは川を越した金谷の駅に近いところで、つまり不侵の約束をふみにじった現場をみつかったわけである、昌景はさすがにぐあいの悪そうな顔で、目礼をしてそこそこにゆきすぎたが、家康の手まわりが僅かな人数であるのを見るとにわかに馬を返し、乱暴にもいきなり抜きつれて襲いかかった。家康はすばやく狭隘の地へしりぞいて迎え、本多忠勝、榊原康政、大須賀康高らが死を決して斬り込んだ、御しゅくんの危急を救おうとする一念不退転の切尖に、たちまち七八騎を斬っておとすと、その勢に圧倒され、また時と場所の不利を察した昌景は、すぐに兵をまとめて退き去ったのである。それがこんどの手切れの原因となった、家康は浜松城へ帰るとただちに甲斐との一戦を決意し、掛川城へ援軍として松平清宗を入れ、松平家忠に馬伏塚の砦を守らせた。