Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
おんりょうしゃくよう
怨霊借用
泉 鏡花
Read 怨霊借用 (おんりょうしゃくよう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 18,803 characters · 38 screens
――もっとももう時雨の頃で――その瓢箪頭を俯向けますと、(おい、霞の五番さんじゃ、今夜御療治はないぞ。)と、こちらに、年久しい、半助と云う、送迎なり、宿引なり、手代なり、……頑固で、それでちょっと剽軽な、御存じかも知れません。威勢のいい、」
「あれだね。」
と欣七郎が云うと、お桂は黙って頷いた。
「半助がそう申すと、びしゃびしゃと青菜に塩になりましたっけが、(それでは外様を伺います。)(ああ、行って来な。内じゃお座敷を廻らせないんだが、お前の事だ。)もっとも、(霞の五番さん)大島屋さんのお上さんの他には、好んで揉ませ人はござりません。――どこをどう廻りましたか、宵に来た奴が十時過ぎ、船を漕いだものが故郷へ立帰ります時分に、ぽかんと帳場へ戻りまして、畏って、で、帰りがけに、(今夜は闇でございます、提灯を一つ。)と申したそうで、(おい、来た。)村の衆が出入りの便宜同様に、気軽に何心なく出したげで。――ここがその、少々変な塩梅なのでござりまして、先が盲だとも、盲だからとも、乃至、目あきでないとも、そんな事は一向心着かず……それには、ひけ頃で帳場もちょっとごたついていたでもござりましょうか。