Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

かいじんにじゅうめんそう

怪人二十面相/少年探偵団

江戸川 乱歩

Read 怪人二十面相/少年探偵団 (かいじんにじゅうめんそう) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 212,130 characters · 422 screens

Aozora Bunko

しかし、名探偵の誘かいを、世界中でいちばんざんねんに思ったのは、探偵の少年助手小林芳雄君でした。

一晩待ちあかして朝になっても、また、一日むなしく待って、夜がきても、先生はお帰りになりません。警察では二十面相に誘かいされたのだといいますし、新聞やラジオまでそのとおりに報道するものですから、先生の身のうえが心配なばかりでなく、名探偵の名誉のために、くやしくって、くやしくって、たまらないのです。

そのうえ、小林君は自分の心配のほかに、先生の奥さんをなぐさめなければなりませんでした。さすが明智探偵の夫人ほどあって、涙を見せるようなことはなさいませんでしたが、不安にたえぬ青ざめた顔に、わざと笑顔をつくっていらっしゃるようすを見ますと、お気のどくで、じっとしていられないのです。

「奥さん大じょうぶですよ。先生が賊のとりこなんかになるもんですか。きっと先生には、ぼくたちの知らない、何か深い計略があるのですよ。それでこんなにお帰りがおくれるんですよ。」

小林君は、そんなふうにいって、しきりと明智夫人をなぐさめましたが、しかし、べつに自信があるわけではなく、しゃべっているうちに、自分のほうでも不安がこみあげてきて、ことばもとぎれがちになるのでした。