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かいじんにじゅうめんそう
怪人二十面相/少年探偵団
江戸川 乱歩
Read 怪人二十面相/少年探偵団 (かいじんにじゅうめんそう) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 212,130 characters · 422 screens
門の外には、もうちゃんと自動車が待っています。小林君は緑ちゃんをだいて、秘書の今井君があけてくれたドアの中へはいり、客席にこしかけました。つづいて、今井君も助手席につき、車は、エンジンの音もしずかに出発しました。
もう外は、ほとんど暗くなっていました。道ゆく人もおぼろげです。自動車はしばらく電車道を通っていましたが、やがて、さびしい横町に折れ、ひじょうな速力で走っています。
見ていると、両がわの人家がだんだんまばらになり、ひどくさびしい場所へさしかかりました。
「運転手さん、方向がちがいやしないかい。」
小林君は、みょうに思って声をかけました。
しかし運転手は、まるでつんぼのように、なんの返事もしないのです。
「おい、運転手さん、聞こえないのか。」
小林君は、思わず大声でどなりつけて、運転手の肩をたたきました。すると、
「よく聞こえています。」
という返事といっしょに、運転手と今井君とが、ヒョイとうしろをふりむきました。
ああ、その顔! 運転手も今井君も、まるで、えんとつの中からはいだしたように、まっ黒な顔をしていたではありませんか。そして、ふたりは、申しあわせでもしたように、同時にまっ白な歯をむきだして、あのゾッと総毛立つような笑いで、ケラケラケラと笑いました。