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かいいくらやみまつり

怪異暗闇祭

江見 水蔭

Read 怪異暗闇祭 (かいいくらやみまつり) by 江見 水蔭 (えみすいいん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 12,923 characters · 26 screens

Aozora Bunko

はなはだ機嫌が悪く、ぶつぶつ独語をつぶやきながら、金剛杖で立木を撲りなどしていた。

そこへ怪剣士小机源八郎が、ぼんやりした顔で帰って来た。

「やあお前もしけか」

「どうも見付からなかった」

「しかし、矢張、やられた者があるようだな」

「我々で見廻って発見されないのだから、すりの野郎にはとても駄目だろう。今にしょげながら帰って来るよ」

そう話し合っているところへ、怪巷賊五郎助七三郎が帰って来た。背中に黒髪振乱したる若い娘の、血に染ったのを背負って来た。

「はっはっはっ曲者が見付からないので、埋合せに美人を生捕って来たな。酒の酌でもさせようというのであろうが、それはよろしくない。帰してやれ。おや、ぐったりしているじゃあないか。気絶しているのか」

七三郎は黙ってそこへ娘を下した。そうして片手の平で鼻を一つ擦り上げて、腮をしゃくって反り身になり、

「さあどうだ。二人とも地面に手を仕いて、お辞儀をしなせえ。拳固で一つ頭をこつんだ。もちろん酒は私が奢ってやる」と馬鹿に威張り出した。

「おいおい、血迷っちゃいかん。切られた娘を連れて来たって何になるか。切った奴を連れて来なけりゃあ駄目だ」